カプコン『大神』は奇跡のような一作です

大神

今さら何を騒いでるんだ、と思う方も多いでしょうが、クリアしました。昨日。
いやー知りませんでしたよ。
カプコンがこんな化け物みたいなゲーム作ってたなんて。
現代の日本に生まれて良かった。
そう思える一作です。
以下、ネタバレ無しのレビュー。

当方ゲーム歴は長いと思います。
小学生の頃にファミコンブーム、中学生でスーファミブーム、高校生でスト?ブーム、そして大学生になった時に次世代機ブーム(プレステとサターン同時買いしたYO!)というように、私の世代はまさにゲームと共にあったと言っても過言ではありません。
かく言う私も、ドラクエ・FF全シリーズをそれぞれ2?3回ずつクリアしてます。
昇龍拳が足の指で出せます。
さくらよりもすみれなんです。
『チョップリフター』を定価で買ったんです。

そんな私ですが、PlayStation2『大神』は完全に穴でした。
まあ一応人気作っぽいから押さえとけ、みたいな気持ちでスタートしたところ、最初のOPで鳥肌立った。これはあかんと。これはヤバいと。
で、結局その予想は最後まで裏切られることなくエンディングを迎えましたよ。
一体このゲームの何を褒めればいいのかしら。
絵師か。企画か。デザイナーか。技術部隊か。ディレクターか。音屋か。
わからん。
わからんけども、おまえら最高にGJだ。
すべてのパートが凄まじいクオリティで仕事をして、それが一つの「世界」となり、我々の目の前に現前するのである。それこそがゲームが可能にした、現実ではないもう一つの世界なのだ。
映画でもマンガでも味わえない、正真正銘のゲーム体験というやつだ。

『大神』のゲームとしてのジャンルはおそらくアクションRPGとなるのでしょう。和風ゼルダだと思って下さい。ただしそう思って実際にプレイすると、いい意味で裏切られると思います。
初心者でも簡単にプレイできるように全体の難易度は低めですが、ゲームを一度もやったことがないという婦女子にはちょっと辛いと思いますので、そういう時は彼氏や弟にプレイしてもらいましょう。
とにかく、この名作をジャンルで区別するのはバカらしい。
これは一つの世界です。
私のようなオッサンは年季が入ってるので、こんなクオリティのゲームが企画?開発?生産までこぎつけ、無事に発売されることの確率の低さは分かっているつもりです。
しかもバブルの頃ならまだしも、この不景気の最中に奇跡としか言いようがない。
みなさん、奇跡ですよこれは。

実は友人にカプコン社員がいるんですが、そいつが「いいから黙ってやってみろ」と勧めてきたんですね。それで手を出したんですが、大神はもちろん、なんかここ数年のカプコン作品は神がかってると思います。スーファミの黄金期の頃に業界全体が帯びていたような勢いが、カプコン一社だけにありますね。
そんで、そいつが口癖のように言ってるんですが、「日本人がゲームをやらないのは、アメリカ人が映画を見ないのと同じことだ」と。
名言です。
ハリウッド映画と同じくらい日本のゲームソフトというのは世界的に評価されてきたもので、『大神』のクオリティはその評価に恥じることなく、シナリオ、世界観、ゲームバランス、システム、ビジュアル、ミュージック、どれをとっても最高レベルのものだと思います。
もちろん個々のレベルが非常に高いんですが、『大神』はそれだけではありません。それぞれが一つの「世界」を支え合っている。ビジュアルが音楽の手助けをし、シナリオがビジュアルを補完し、ゲームバランスがシナリオを支え、音楽が世界観を補っている。
その奇跡的な相互作用でのみ「世界」が生まれるのです。

PS2以降、ゲーム業界はつまらなくなったと言われています。実際、悲しいですが私もそう感じています。ハードウェアの無意味なスペックアップ、開発費の肥大化、それに伴う中小メーカーの撤退や倒産。
私自身もつまらないゲームに出会うたびに、8bitでいいから名作を出してみろ! と憤ったりするんですが、『大神』のように「最新の技術」を「正しい方向」に使われてしまうと、はっきり言って参ってしまいます。文句が出ません。
ああ、こりゃPS2いるわと。なんならPS3買いますと。
必要は発明の母なり。
トゥーンレンダリングは『大神』のためにあったのか、と思ってしまいます。

『大神』は古代の日本っぽいところが舞台となり、妖怪たちが跋扈するおとぎ話のような世界です。既にそれだけでゲームが成立するんですが、『大神』では実際のおとぎ話を模倣するのではなく、その要素を含めつつも完全にオリジナルの物語となっています。
しかもそれが良い意味でものすごく教育的なんですね。これ、子供たちがやったらどういう感想持ったのかなーと想像してしまいます。
非常にいい教育になるんじゃないかなあと。
「自然を大切にしよう」的なしょうもないメッセージじゃないですよ。もっとね、言葉にならない、大人でも感動してしまうような、みんなが忘れていたものを思い出させてくれます。
実際、最後でちょっと泣いてしまいました。
詳細は伏せますが。
最後で感動のダメ押しを喰らった気分。

この『大神』はベスト版が出てます。¥2,800です。
めちゃくちゃですよ。このボリュームが¥2,800だってさ。適正価格でいうと個人的には¥28,000くらいだと思うんですけど。俺、次回作が出るんなら¥28,000でも買うよ。

みなさん日本人ですか。
日本人なら、ゲームしなさい。『大神』買いなさい。
そこには一ヶ月の海外旅行に匹敵する「世界」がありますよ。
そしてその世界の楽しさは、私が保証します。

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5 超美麗
5 傑作!
5 日本という国の文化の結晶
5 製作スタッフが、このレビューを見ていることを祈って

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